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編集後記
S.I.
S. I.
pp.762
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102239
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本年5月,WHO保健総会で精神障害への取り組みに関して一つの決議がなされた。「精神障害の地球的負荷および国レベルの保健社会機関での包括的/調整的な対応の必要性」(EB130. R. 8)で,今後WHOは「精神保健のための包括的アクションプラン」を作成することになった。背景には,精神保健問題の重要性にもかかわらず対応の遅れがあり,治療を受けていない人が低所得/中等所得国家で76~85%,高所得国家でも35~50%に及ぶと指摘されている。決議には,精神障害は予防しうるものであり精神保健の促進が関係者,非関係者の区別なく取り組まれる必要性についても含まれている。
予防は最大の治療と言われているように,精神医療でも予防への関心が急速に高まっている。疾患予防のためには疾患の原因が分かれば一番良いが,大部分の精神疾患でそうであるように,たとえ分かっていなくともリスク因子を解明することで予防活動が可能である。それとともに,広く一般市民の精神的健康に注目し,啓発を通して早期発見や早期介入につなげていく活動も重要である。本号では,このような予防的な観点から興味をひく研究が目についた。
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