Japanese
English
特集 循環器疾患の遺伝子診断と遺伝子治療
遺伝子導入法の進歩
The Progress of Gene Delivery System
木田 岩男
1
,
森下 竜一
2
Iwao Kida
1
,
Ryuichi Morishita
2
1大阪大学医学部加齢医学
2大阪大学医学部遺伝子治療学
1Department of Geriatric Medicine, Osaka University Medical School
2Department of Molecular Therapeutics, Osaka University Medical Scholl
pp.1199-1206
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910114
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
多くの疾思の病態が遺伝子のレベルで明らかになってきた現在,遺伝子治療は難治性疾患の根治的な治療法として期待を集めている.循環器疾患においても遺伝子の異常や多型が疾患と大きな関わりがあることがわかり,遺伝子治療が現実のものとなりはじめている.この遺伝子治療の鍵を握るのは遺伝子導入技術である.1952年,サルモネラ菌に対して遺伝子導入が試みられたのをはじめとして,ウイルスを用いた遺伝子導入法は動物細胞にも用いられるようになった.また,培養細胞に対してはリン酸カルシウム法などの難溶性物質を用いた方法も開発された1).しかし,遺伝子導入法が遺伝子治療のツールとして飛躍的進歩を遂げたのは,1970年代に組換えDNA法が導入されてからのことである.遺伝子導入技術と遺伝子組換え技術が結びついたとき,それまで夢の治療法とされていた遺伝子治療が実現可能なものとなった.現在では多くの疾患において遺伝子治療の臨床応用が既に始まっている.
生体への遺伝子導入法には,直接遺伝子を導入するin vivo法と生体外に取り出した細胞あるいは組織に遺伝子を導入後,生体に戻すex vivo法がある.ex vivo法は遺伝子導入効率が高いこと,安全面での制御の容易なことなどが利点であるが,操作が煩雑であることなどもあり,今後多くはin vivo法に移行していくと考えられる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.