Japanese
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特集 心血管系における再生医療・遺伝子治療
血管新生の遺伝子治療
Therapeutic Angiogenesis using Gene Therapy
島村 宗尚
1
,
青木 元邦
1
,
森下 竜一
1
Munehisa Shimamura
1
,
Motokuni Aoki
1
,
Ryuichi Morishita
1
1大阪大学大学院医学系研究科
1Division of Gene Therapy Science, Osaka University Medical School
pp.341-347
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902450
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はじめに
動脈硬化を基礎とする虚血性心疾患,閉塞性動脈硬化症は,食生活の欧米化・社会の高齢化とともに増加しつつある.優れた薬剤やカテーテル・ステントなどの手術デバイスによる治療が発達したが,既存の治療法では,重症患者においては下肢切断を余儀なくされる患者も多く,また血管形成術後の再狭窄はステントの普及した現在でもなお大きな課題である.
アデノシンーデアミナーゼ(ADA)欠損症などの先天性疾患の治療として始まった遺伝子治療は,多因子疾患である循環器疾患にも広がってきており,特に血管形成術後の再狭窄,虚血性心疾患,閉塞性動脈硬化症に対する遺伝子治療は有望なターゲットとして多くの検討がなされてきた.欧米では,閉塞性動脈硬化症・虚血性心疾患に対して既に多くのプロトコールが申請,実施され,その効果は予想以上であった.本邦でも,血管形成術後の再狭窄に対する核酸医薬E2Fデコイを用いた臨床試験,閉塞性動脈硬化症,Büerger病に対するHepatocyte growth factor(HGF)の遺伝子導入による血管新生療法の臨床試験が開始されている.
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