巻頭言
睡眠呼吸障害は21世紀の国民病か?
榊原 博樹
1
1藤田保健衛生大学呼吸器内科・アレルギー科
pp.1179
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902571
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「睡眠呼吸循環障害は21世紀の国民病だ」とは梅田博道名誉教授(藤田保健衛生大学)の言葉である(Home Care Today, vol 2,1998).その根拠を補足しておきたい.
米国の調査では,1時間に5回以上の睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB,そのほとんどは咽頭部分での窒息による閉塞型)をもつのは30〜60歳の男性の24%,女性の9%にも達する.診断基準を厳しくして無呼吸—低呼吸指数(AHI)≧10としても,その頻度は男性で15%,女性で5%である(Young T, et al:N Engl J Med328:1230,1993).これらの頻度は予想外に高いものであったが,その後各国で行われた比較的よくコントロールされた疫学調査でほぼ同様かこれ以上の有病率が得られている.Guilleminault(1976)によるオリジナルの(古典的な)定義に従えば,中高年の男性の1/4,女性の1/10は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されることになる.ICSD(International Classification of Sleep Dis—orders,1997)やAASM(American Academy ofSleep Medicine,1999)の診断基準に従い,このうち日中の眠気などの症状を伴うもののみをSASと診断すると,男性の4%,女性の2%となる(ほとんどは閉塞型睡眠時無呼吸症候群,OSASである).それでも気管支喘息に匹敵する高い有病率である.
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