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今年、医師国家試験は大きく変わった。単に医学的知識を問うのではなく、臨床医の思考過程に沿った「臨床実地問題」が重視され、暗記力とテクニックに頼る国試対策は通用しなくなるかもしれない。
であれば、第一線の臨床医による国試解説ほど役立つものはないはずだ。そんな試みにいち早く「21世紀 適々斎塾」が取り組み、2017年9月3日(日)、特別セミナー「国試をぶっとばせ!!!」に全国から140名が参集した(半分は医学生、残りは研修医・医師)。本誌連載「国試にたずねよ」の著者 山中克郎氏(p.403)をはじめ、徳田安春氏(p.429、同塾理事)、上田剛士氏(p.421、同塾理事)、須藤博氏(大船中央病院)、佐田竜一氏(亀田総合病院)が、めまい・下痢・頭痛・動悸・嘔吐・リンパ節腫脹・しびれ・浮腫・皮疹・腰痛と「症候別」に国試を解説。さらに、鈴木富雄氏(大阪医大)がスペシャルコメントを寄せた。実際の症例も交えた臨床医オリジナルの解説は、「試験」と「臨床」の溝を事もなげに埋めていく。「まずは合格」と根を詰める医学生に、臨床の楽しさ・醍醐味をも伝え、“国試の向こう側”へと誘った。
21世紀 適々斎塾は、「開業医の、開業医による、全ての医師・医学生のための医学塾」だ(p.397)。毎回の塾は1年を通して行われ(Data参照)、診療所/病院の垣根を越える骨太なテーマに一歩踏み込み、1回につき計12時間みっちり学び合う。ベテランが若手に教えたり、若手がベテランに教えたり、世代も越える。塾長は中西重清氏(中西内科)で、理事に安田英己氏(安田内科医院)、板金広氏(いたがねファミリークリニック)、松村榮久氏(松村医院)と、地域医療・家庭医療の最前線に腰を据える医師が中核を担う。たしかに適塾(江戸時代後期の大阪の医師・緒方洪庵による私塾。適々斎塾)を思わせる。2016年に現代によみがえった“街場”の医学塾は、ストイックかつ和気あいあいと温かい。
(『総合診療』編集室)
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