母と子を看とるなかで
21世紀にむけて
横尾 京子
1
1淀川キリスト教病院
pp.328
発行日 1978年5月25日
Published Date 1978/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205385
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学園紛争の真只中で看護学生時代を過ごした私には,医学部正門に張られたバリケードが,今なおその時代の私を象徴するかのように生きている。しかし,その象徴は,悲しいかな,少なからず風化されてしまっている。民青色の濃い自治会で2人の友人と共に示したささやかな抵抗は,また,‘靖国神社法案反対’と叫んだあの喉の乾きはどこへ消えてしまったのだろうか。
10年も経った今,こんなことを考えてしまうのは,Dr. Tとある日飲んだアルコールのせいなのかもしれない。Dr. Tは,K大学医学部民青の執行委員長を勤めた自称革命的闘士であり,今もって,マルクス・エンゲルスに傾倒している人である。この闘士も,つい1か月ほど前に1児の父親となった。そして,T夫人が私の親友のひとりなのである。
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