COFFEE BREAK
21世紀の科学
屋形 稔
1
1東新潟病院
pp.874
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901177
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私たちの若い頃,旧制高校ではデカンショという歌をよく歌った.デカルト,カント,ショーペンハウエルという三大哲学者の頭文字をとったもので,デカンショデカンショで半年暮らしあとの半年寝て暮らすという哲学三昧の生活を謳歌したものである.
この春の日本内科学会の特別講演は,現代の哲学者であり多くの分野で高名な京都の梅原猛先生の「医学と生命」という話であった.先生によると近代哲学の開祖と言われたデカルトも,心と体の二元論者ということで現在の自然環境破壊にもつながる物質文明偏重の責任者として評判が悪く,きびしい批判が加えられている.たしかに医学界でもデカルト哲学の行きつくところ生命の概念を失わせ,肉体的機械的の分析を主体とする,つまり近代医学の末期的現象をもたらしたと言われても仕方がない.
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