Coffee Break
20世紀の医療と21世紀の医療
片岡 達治
pp.105
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900861
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今世紀に入って急性,慢性を問わず,ほとんどの疾病において治療薬と治療法が開発されてきた。疾病間に治癒率,奏効率にかなりの差がみられるのは確かであるが,前世紀に比べて飛躍的な改善が得られたことに異論はない。しかし同時にすべての疾病の治療において共通する問題が生じてきた。それはresponderとnon—responderの区別の問題である。どんなに簡単な疾病でも,治療に際して目前の患者が確実にresponderとなる保証を私達はもっていない。この問題は副作用の強い治療法の場合には特に重要である。たとえ奏効率が90%に上っても,患者にとっては自分がresponderに入るか否かが問題なのである。今世紀の医療は奏効率を上げることに力を注いできたが,それは医者側からみての疾病の克服に何がしかの満足感を与えたが,患者側の要求とは隔たりがある。治療適応患者を正確に識別することが21世紀の医療に課せられた問題となろうか。
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