Japanese
English
特集 「結核緊急事態宣言」と対策
結核診断法の進歩
Advance in Diagnosis of Tuberculosis
川辺 芳子
1
Yoshiko Kawabe
1
1国立療養所東京病院呼吸器科
1Department of Respiratory Diseases, National Tokyo Hospital
pp.1095-1100
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902558
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はじめに
1980年代後半から1992年の米国でのAIDS患者の結核症の多発,多剤耐性菌による集団感染の多発,AIDS患者では結核症の進行がきわめて早いこと,また全身性の非結核性抗酸菌症を高率に発病することなどにより,早期に抗酸菌の検出と結核菌か否かの同定および薬剤感受性検査の結果を得ることが緊急の課題であった.CDCは1994年に結核菌検査法の目標を設定した1)(表1).
結核の診断は結核菌の検出が基本であるが,コッホが1892年に結核菌を発見して以来100年の問,塗抹検査と固形培地への分離培養検査が行われてきた.結核菌の分裂は遅く,1回の分裂に15〜18時間という時間がかかるため,固形培地上にコロニーを確認できるのは2週間以上かかり,通常4週培養,8週培養の判定で培養結果を得ていた.さらにそれを分離培養して薬剤感受性検査を行うため,感受性の結果が出るまでに2〜3カ月を要していた.1980年代に入り分子生物学,遺伝子工学の進歩を受けて,遺伝子レベルでの菌の検出法が次々と開発され普及した.
わが国でも迅速性と精度と国際性を目的に2000年に結核菌検査指針が改定された.その主な点は表2に示した.
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