トピックス
結核診断法の進歩
前倉 亮治
1
,
田栗 貴博
2
1国立病院機構刀根山病院
2国立病院機構刀根山病院検査科
pp.869-872
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102188
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過去10年間で結核診療とそれを取り巻く環境は,大きく変化・進歩してきている.具体的には,遺伝子を使った診断法の確立,液体培地の導入,新しい治療戦略である直接監視下短期化学療法(directly observed therapy short course,DOTS)の開始,退院基準の作成,さらに結核予防法から感染症法への取り扱う法律の変更などである.
この間,結核の罹患率は10万人当たり20~30人程度に減少したが,非結核性抗酸菌症は増加傾向にある.かつて喀痰塗抹抗酸菌陽性であれば,肺結核として命令入所し化学療法を開始していたが,今や塗抹抗酸菌陽性の約半数が非結核性抗酸菌であることから結核迅速診断の重要性が高まっている.また,多剤耐性結核菌が一般の肺結核患者へ感染するとの報告があり,多剤耐性結核患者は陰圧病棟へ収容する必要性から耐性結核菌の迅速な診断も重要となっている.
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