Japanese
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特集 睡眠呼吸障害をめぐって
睡眠呼吸障害の病態と診断—精神神経系,QOL,社会問題
Pathophysiolgy and Diagnosis of Sleep Disordered Breathing:Neuropsycology, quality of life and social problems
赤星 俊樹
1
,
赤柴 恒人
1
Toshiki Akahoshi
1
,
Tsuneto Akashiba
1
1日本大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.1053-1060
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902374
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はじめに
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は,「一晩の睡眠中に無呼吸(10秒以上の口・鼻での気流の停止)が30回以上出現し,かつ,その無呼吸がnon—REM(rapid eye movement)睡眠時にも認められる病態」と定義されている1).SASには,日中傾眠をはじめとする精神神経機能障害2〜4)や心・血管系の循環系合併症5〜7)が報告され,これらの合併症が生命予後に直接関与している可能性が示唆されている8,9).さらに,日常生活面でのQOL(quality of life)阻害や,交通事故や作業事故などの社会生活面での支障も指摘され,広く臨床の場で注目されつつある.
SASは,その診断においてポリソムノグラフイー(polysomnography;PSG)により中枢型と閉塞型に大別されるが,実際に臨床の場で遭遇するほとんどは閉塞型SAS(obstructive SAS;OSAS)である.OSASは,睡眠中の繰り返し起きる上気道閉塞により中途覚醒が頻発し,部分的断眠状態となる.この代償現象として日中の傾眠や精神神経機能障害を生じ,これらの症状が患者のQOLを阻害し,社会生活に影響を及ぼすものと考えられる.QOLが問題となるのもOSASであることが多いため,本稿ではOSASに限って詳述する.
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