Japanese
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特集 睡眠呼吸障害の新展開と展望
睡眠呼吸障害による日中の過度な眠気,QOL障害と社会問題
Excessive Daytime Sleepiness,Quality of Life and Social Problems in the Patients with Sleep Disordered Breathing
赤星 俊樹
1,2
,
川原 誠司
1
,
服部 知洋
1
,
蜂須賀 久喜
1,2
,
赤柴 恒人
1
Toshiki Akahoshi
1,2
,
Seiji Kawahara
1
,
Tomohiro Hattori
1
,
Hisayoshi Hachisuka
1,2
,
Tsuneto Akashiba
1
1日本大学医学部内科学講座内科1部門
2横須賀市立市民病院呼吸器科
1First Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
2Department of Respirology, Yokosuka Municipal Hospital
pp.377-383
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100284
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はじめに
睡眠は,生命にとって必要不可欠なものである.日中の眠気は誰もが経験する徴候であろう.睡眠の分断は日中の過度な眠気(excessive daytime sleepiness:EDS)を生じさせ,集中力や注意力の低下,短期記憶障害,反応時間の遅延などの認知機能の低下につながる.耐え難い日中の眠気に加え,無呼吸の指摘がある場合,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)が疑われる.SASでは,睡眠中に繰り返し出現する無呼吸により,中途覚醒が生じ睡眠が分断され,EDSが生じる.さらに,EDSをはじめとする神経生理機能障害1~3)や心・血管系の循環系合併症4~6)が報告され,生命予後の悪化が報告されている7,8).一方,QOL(quality of life)の低下や,交通事故などの社会生活面での問題も指摘されている.2003年2月の新幹線で起きた象徴的な事件は,SASが個人的な健康問題だけではなく,公共の安全性を含めた社会問題にまで発展しうる疾病であることが広く認識される瞬間でもあった.SASは,診断においてポリソムノグラフィー(polysomnography;PSG)により中枢型と閉塞型に大別されるが,実際に臨床で遭遇するほとんどは閉塞型SAS(obstructive SAS;OSAS)である.
本稿では,OSASに関係するEDS,QOL障害や社会問題を中心に詳述する.
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