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はじめに
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)を含む睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing:SDB)の有病率は高く1),2003年2月26日の山陽新幹線で起きた居眠り運転事件をきっかけに,未治療のSAS患者が多数存在し公共の安全性を脅かしていることが広く認識されるようになった.SASは睡眠中に無呼吸と中途覚醒が繰り返し出現することにより睡眠が分断され,睡眠構築が障害されるばかりでなく無呼吸による著しいガス交換障害(低酸素血症,高二酸化炭素血症)が惹起される結果,交感神経の亢進,血管内皮障害,内分泌代謝異常などをも引き起こす2).その結果生じる日中の過度な眠気・過眠をはじめとする神経生理機能障害3~5)や高血圧をはじめとする心・血管系の合併症6~8)が報告され,さらに生命予後の悪化につながることも報告されている9,10).また日中過眠の結果,QOL(quality of life)の低下11,12)や交通事故13,14)などの社会生活上の問題への関与も指摘されている.
SASの診断においてはポリソムノグラフィー(polysomnography;PSG)がゴールドスタンダードであるが,わが国では未だ検査のできる施設が患者数に対して不足しているのが現状であろう.そのため実際の臨床では簡易型の睡眠モニター機器が診断に用いられることが多い.本稿では,閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群(obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome:OSAHS)を中心に,そのスクリーニング,診断に用いられる簡易睡眠モニターについて詳述する.
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