Japanese
English
巻頭言
呼吸不全と睡眠呼吸障害
Foreward
赤柴 恒人
1
Tsuneto Akashiba
1
1日本大学内科学系睡眠学分野
pp.1185
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100921
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現在では慢性呼吸不全患者の標準治療としてルチンに行われている長期酸素療法(LOT,わが国ではHOT)が,健康保険の適用を受けたのは1985年のことである.当時,呼吸生理学を専攻し呼吸不全患者を診ていたわれわれにとっては長い努力がようやく認められたかという感があり,いくらかの興奮を覚えたのを記憶している.その後,厚生省の研究班が組織され,わが国の呼吸不全研究は大きな発展を遂げるわけであるが,筆者は,この年,呼吸管理の研修のためシアトルのワシントン大学に留学した.
最初に研修したハーバービュー医療センターは,ARDSの診療で米国でも有名な病院であったが,慢性呼吸不全患者(ほとんどがCOPD)のケアも先進的に行われていた.その後,研修に行った退役軍人(VA)病院では,数多くのCOPD患者を診た.病院の特殊性でもあろうが,外来患者の50~60%程度はCOPDであり,例外なく重喫煙者であった.私が日本人だと知ると,“俺はKoreaで戦った.その時Japanにも行ったよ.”という患者がかなりいた.多くのLOT患者を診て,彼らが思ったよりも明るく生活していると感じたが,それでも経過中に急性増悪を起こし人工呼吸管理を受けたり,死亡する例をみると,決してこの治療法が患者を救うものではないと感じた.
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