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■高血圧をめぐる最近1年間の話題
1 大規模臨床研究の成果
1999年の高血圧症領域の大きな話題は,世界保健機構と国際高血圧学会(WHO/ISH)から高血圧症の診断と治療のガイドライン1)が発表されたことである.このガイドラインの意義は経験によるものでなく,世界中の大規模長期臨床試験の結果に基づいて討論され練られた,いわゆるevi—dence-based medicineである点である.WHO/ISHのガイドラインで強調されていることは,血圧レベルからだけでなく,リスクファクターや臓器障害,合併症を考えに入れて患者を層別化し,降圧薬の開始時期を決めることである.降圧薬の使用法に関して,病態に合わせて最も適する降圧薬を選択するよう実例が示されている.例えば心不全,心筋梗塞後,糖尿病性腎症には,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が第一選択であり,高齢者の収縮期高血圧症(収縮期圧が140mmHg以上で,拡張期圧は90mmHg未満)には,長時間作用型カルシウム(Ca)拮抗薬が第一選択である.このガイドラインは詳細で膨大すぎるという意見もあり,2000年4月には日本高血圧学会としてのガイドラインが発表される.
Swedish Trial in Old Patients with Hyperten—sion−2(STOP−2)は,70〜84歳の高齢者高血圧症6,614人の5年間の介入試験で,無作為に利尿薬・β遮断薬群,ACE阻害薬群,カルシウム拮抗薬群の3群に分けた2).致死性脳卒中,心筋梗塞,心血管疾患に3群で差はなかった.ACE阻害薬とCa拮抗薬とを比べると,心筋梗塞およびうっ血性心不全の頻度についてはACE阻害薬のほうが有意に優れていた.
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