今月の臨床 計画妊娠—合併疾患への対応
循環器疾患
4.本態性高血圧
斎藤 郁夫
1
,
猿田 享男
2
Ikuo Saito
1
,
Takao Saruta
2
1慶應義塾大学保健管理センター
2慶應義塾大学医学部内科
pp.1242-1244
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900602
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高血圧は脳卒中や虚血性心臓病などの心血管系疾患の重要な発症因子であり,血圧が高いほどその危険が高まることが知られている。
したがって高血圧の治療の目的は脳卒中や虚血性心臓病などの予防であり,降圧薬治療によりこれら心血管系合併症が予防されることが期待されるが,どの程度の高血圧をどのように治療すれば良いかを知るために欧米では多人数の高血圧患者を対象とし,降圧薬あるいはプラセボを投与し,心血管系合併症の発症率を比較する大規模研究が行われてきた。米国のHypertension Detection and Follow-up Program(HDFP)研究,英国のMedical Research Council(MRC)研究などにより降圧薬治療によりある程度脳卒中や虚血性心臓病などが予防されることが証明されている1)。これらの主として中高年の男性を対象とした研究成績から軽症高血圧の治療について米国のDetec—tion,Evaluation and Treatment of High Blood Pressureに関する合同委員会(JNC)2)は1988年に,WHOと国際高血圧学会(ISH)による委員会(WHO/ISH)3)は1989年に高血圧の治療指針を発表している。本稿ではこれらの指針を参考にして妊娠期待年齢の女性の本態性高血圧の治療,非薬物療法,薬物療法について概説する。
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