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降圧薬の配合剤に関する最近1年間の動向
近年,高血圧に関する疫学研究あるいは高血圧治療に関する大規模な介入試験の結果から,降圧目標が徐々に低くなってきた.それを受けて2009年に発表された日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン(JSH2009)では,表1に示すように降圧目標がこれまで以上に低く設定された1).さらに,最近では家庭での血圧測定が普及するとともに,家庭血圧は診察室血圧よりも優れた生命予後の予知因子であると報告されていることから2),JSH2009では家庭血圧値での降圧目標値も示している.表1に示すように,家庭血圧値での降圧目標値は,収縮期血圧および拡張期血圧とも診療室血圧よりも5mmHg低くなっている.
このような降圧目標を達成させるには,生活習慣の修正と降圧薬の単剤投与だけでは不十分なことが多く,併用療法が必要である.JSH2009では,好ましい併用療法として,Ca拮抗薬とレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬であるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の併用,Ca拮抗薬とβ遮断薬の併用,利尿薬とRA系抑制薬あるいはβ遮断薬との併用などが推奨された.このような併用療法はすでに日常臨床上,多くの先生方により実施されているが,問題は服薬する薬剤数が多くなり,服薬アドヒアランスが低下することである.この点の改善,さらに配合剤にすることによる利便性・経済性,またすでに欧米では多数の配合剤が市販されていることから,日本でも降圧薬の配合剤の認可が求められるようになった(表2).しかし,厚生労働省では,配合剤では副作用が発症した場合にどちらの薬剤によるものか判断し難いこと,また,医師が諸薬剤の投与量を上手に調節して使うという,きめ細かな治療ができなくなるという理由などから,配合剤の開発を許可しなかった.
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