Japanese
English
綜説
高地肺水腫
High-altitude Pulmonary Edema
小泉 知展
1
,
久保 恵嗣
1
,
小林 俊夫
2
Tomonobu Koizumi
1
,
Keishi Kubo
1
,
Toshio Kobayashi
2
1信州大学医学部第一内科
2鹿教湯三才山病院
1First Department of Internal Medicine, Shinshu University School of Medicine
2Kakeyu Misayama Hospital
pp.259-265
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901862
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はじめに
高地肺水腫(high-altitude pulmonary edema以下HAPE)は,最重症型の高山病の1タイプである.その病態は,高地という低圧,低酸素,低温という特殊環境下で,さらに運動負荷が加わることにより発症すると推定されている1,2).HAPEは,一般には海抜2,700m以上の高地に比較的急速に到達した際に発症すると考えられている.多くは,早期の低地移送により完全に回復するが,適切な処置が遅れたり,悪天候により救助が遅れたりした時は死亡例も認められる.日本でも本症は認められ,多くは日本アルプス登山中に発症している症例が多い.われわれの施設では,今までに48例の高地肺水腫症例を経験し,これら以外に4例の死亡例も経験している.
本稿においては,本症の臨床像,病態生理および発症機序を中心に,最近の知見もふまえ解説する.
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