Japanese
English
綜説
低酸素性肺血管収縮反応について
Hypoxic pulmonary vasoconstriction
久保 恵嗣
1
,
小林 俊夫
1
,
吉村 一彦
1
,
草間 昌三
1
Keishi Kubo
1
,
Toshio Kobayashi
1
,
Kazuhiko Yoshimura
1
,
Shozo Kusama
1
1信州大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine, Shinshu University School of Medicine
pp.1412-1421
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204783
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
肺胞性低酸素は生体に対し呼吸・循環系を中心に種々の影響をおよぼす。特に肺循環系に対し,急性低酸素刺激は肺血管収縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction; HPV)を,慢性低酸素刺激はHPVに加え肺血管および右室の組織学的変化を惹起する。HPVの発生機序は未だ不明の点が多い。HPVの程度は,新生児から成人までの各成長段階,性差,種間差・個体差,血液成分・性状の変化などで異なる。また,慢性に低酸素状態にさらされている高地住民・生息動物,先天性心疾患および肺疾患症例では,低酸素刺激に対し呼吸・肺循環系が特異な反応を示す。さらに,最近,動物実験で種々の肺血管傷害の存在下では,HPVは減弱ないし消失するとの報告があり注目されている。
本稿では,このような種々の環境下におけるHPVを中心にのべ,HPVを修飾する因子およびその機序,ひいてはHPVの発生機序についてもさらに考察を加えたい。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.