Japanese
English
特集 呼吸器系とリンパ循環
肺リンパ液成分とその変動
Lung Lymph Composition and Flow in Experimental Pulmonary Edema
福島 雅夫
1
,
久保 恵嗣
1
,
小林 俊夫
1
Masao Fukushima
1
,
Keishi Kubo
1
,
Toshio Kobayashi
1
1信州大学医学部第一内科
1The First Department of Internal Medicine, Shinshu University School of Medicine
pp.413-417
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900268
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はじめに
肺においても他の臓器と同様に,体液が血管内から間質へ常に濾過されており,濾過された体液はリンパ循環により静脈へと還流され,これが肺リンパ液であるが,正常状態では肺間質や肺胞腔内に水分の異常貯留は認められない.したがって肺リンパ液は肺血管床より肺間質内への濾過液の成分と濾過量を大きく反映しており,経時的に肺リンパ液の流量およびその組成を分析することは,肺血管床および肺間質の生理的・病的状態を検討する上で有用である1).肺の間質液あるいはリンパ液を直接採取しようとの試みは1940年代から行われてきたが,1975年にStaubらが緬羊の慢性肺リンパ瘻を開発し,ほぼ純粋な肺リンパ液の採取が可能となった2).それ以来,肺水分平衡に関する生理的および病態生理的検討に慢性肺リンパ瘻を作製した緬羊が多用され,肺リンパ動態の観察より肺血管床および肺間質の状態に検討が加えられている.さらに最近では肺リンパ液の生化学的分析により肺血管床や肺間質における種々の物質代謝を経時的に知ることが可能となってきた.
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