Topics Respiration & Circulation
気道のウイルス感染と気道過敏性
近藤 哲理
1
1東海大学医学部第二内科
pp.313-314
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901447
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■最近の動向 気道のウイルス感染は気管支喘息増悪(発作)の主要原因である.一方,気道過敏性のない者でも気道感染時には喘鳴を聴取することがしばしば経験され,また,気道感染は慢性呼吸不全患者においても主要な増悪因子である.これらの点から,喘息を有さない者においても気道感染時に気道過敏性が亢進するかは重要な問題と思われる.最近の趨勢では,非喘息者でも気道のウイルス感染時には過敏性が亢進するという考えが主流を占めているが,ボランティアにおける研究は実験方法によって結果が大きな影響を受けるために,気道過敏性の発生は確立していない.一方,ウイルス感染による気道過敏性亢進についての新たなメカニズムについても研究が進められている.気管支喘息では,気道への浸潤細胞から放出される各種メディエーターの気道過敏性への役割が強調されているが,最近の研究では,ウイルス感染時は肺・気道の構成細胞から放出されるサイトカインも重要な役割を担っていることが報告されており,好酸球などの浸潤がなくとも気道過敏性は亢進する可能性が示されている.
今回紹介した気道過敏性亢進を支持する論文(Trigg),支持しない論文(Skoner)ともに研究結果を—般論としては展開しておらず,健常人の気道感染時の過敏性亢進確立には,まだ多くの研究が必要と思われる.3編目のEinarssonの論文では気道過敏性を起こしやすいvirusに言及している点は興味深い.
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