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■最近の動向 外因性を除いた突然死の多くは心臓性である.心臓性突然死(SCD)の約80%が心室頻拍(VT)や心室細動(Vf)の重症心室不整脈である.これは,たまたまSCDを捉えたHolter心電図の検討によるものである.VT,Vfの予防に各種薬剤が試みられてきた.I群抗不整脈薬の多くについては,CAST studyその他のstudyにおいて,予後を改善せず,むしろ悪化する可能性さえあることが示され,現在では自覚症状(QOL)の改善についての研究が多い.III群抗不整脈(アミオダロン,d,l,—ソタロールなど),β遮断薬,ACE阻害薬は予後を改善し得る薬剤として注目されているが,植え込み型除細動器(ICD)にまさるものではない.現在,ICDはSCD予防の最も有効な治療法といえる.
ICDは,1980年のMirowskiらの報告以来,欧米では多くの例に適用されている.当初,開胸手術を要したために,手術自体が原因の合併症が多く,機能もsimpleで,誤作動の心配も多かった.しかし,現在の機種は心室のリードと前胸部の皮下に植え込んだgeneraterのみで目的を達し得る機種になっており,従来のペースメーカー手術程度の侵襲で行えるようになった.日本以外の国では,すでに心内留置のリード1本とペースメーカーのように上胸部の皮下に本体を植え込むのみの機種が使用されており,本邦でも数年先には使用可能となるはずである.本邦では,本年4月から一部の施設でICD植え込みが可能になった.現在,本邦で使用可能な機種は,開胸こそ必要としないが,generaterは大きく腹部に植え込み,心血管内のリードのみならず,皮下に植え込むハッチや電極を必要とする場合が少なくない.
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