Japanese
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特集 気道におけるニューロペプタイドの役割
気道過敏性と気道上皮機能
Airway hyperreactivity and airway epithelial function
棟方 充
1
Mitsuru Munakata
1
1北海道大学医学部第一内科
1First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
pp.499-503
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205471
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はじめに
気道の生検などにより,安定期の喘息患者においても高頻度に気道上皮の障害が認められること1),気道上皮がその標的臓器であるオゾン暴露やウイルス感染により気道過敏性が生ずること2,3)などの事実から,気道上皮の障害と気道過敏性との関連に注目が集まっている。これまでは気道上皮の透過性障壁としての受動的機能に着目する研究が主体であったが,1985年Fiavahanら4)がイヌの気道平滑筋の収縮が健常な気道上皮の存在により抑制されるという事実を見いだしたことから,より能動的な上皮の機能の検討が始まった。彼らの研究は,1980年のFurchigottら5)の内皮依存性の血管拡張現象の発見とその後の血管内皮由来の平滑筋弛緩物質(Endothe-lium Derived Relaxing Factor;EDRF)の発見に刺激されたもので,気道においても同様の現象が存在する可能性をはじめて示したものである。この後,類似の結果が種々の動物の気道でも見いだされた。しかし,血管内皮はAcethylcholineなどによる血管平滑筋の収縮を弛緩に転ずるほどの強力な作用を示すが,気道上皮は,これまでのin vitroの実験方法ではAcetylcholine (Ach),Histamine (Hist)などの収縮作用をわずかに減弱させる程度の作用しか示さず,その後の研究を難しいものとしていた。このため,我々は気道平滑筋と気道上皮との機能的連関を検討するための新しいin vitroの実験方法を開発した6,7)。ここでは,この方法とこれを用いて得られた若干の結果6,7)を述べる。
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