Japanese
English
特集 呼吸循環領域の運動負荷
呼吸器疾患と運動療法
Exercise Therapy for Respiratory Disease
岩永 知秋
1
Tomoaki Iwanaga
1
1国立療養所南福岡病院呼吸器内科
1Section of Pulmonary Medicine, National Minami-Fukuoka Chest Hospital
pp.359-364
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901230
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はじめに
呼吸器系は,生体にとって生命と直結したガス交換という,きわめて重要な生体機能を担うシステムであり,呼吸器系の疾患は循環器系の疾患と同様,より直接的に生体機能の維持に影響を及ぼす.また,身体運動は呼吸・循環の一連の協同作業が基礎になってはじめて成り立つ活動であり,呼吸器系の疾患があるとこれには当然制約が生じ,いわゆる運動耐容能(exercise endurance)の低下という形で現われる.慢性の呼吸器疾患,ことに慢性閉塞性肺疾患(COPD)では,換気の制限,すなわち最大酸素摂取量の減少から運動耐容能の低下が生じ,日常生活活動の制限がもたらされる(図1,dyspnea spiral)1).このことはまた,身体活動の低下から筋肉の萎縮をもたらし,あるいは精神活動の低下,うつ気分,不安,怒りなどの情緒障害をも招来し,悪循環を形成しながら病態の進展を助長する.
これに対して,ことにCOPDに対して,運動療法(exercise training)を中心とする呼吸リハビリテーションプログラムが運動耐容能を改善するという報告は多い2〜4.この稿では呼吸器疾患における運動療法の意義と,呼吸リハビリテーションにおける位置付け,今後の問題について整理する.
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