Japanese
English
Bedside Teaching
結核の治療をめぐる最近の話題
Recent Topics Regarding the Treatment of Pulmonary Tuberculosis
岩永 知秋
1
,
田尾 義昭
1
Tomoaki Iwanaga
1
,
Yoshiaki Tao
1
1独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター臨床研究部・呼吸器内科
1Department of Clinical Research and Respiratory Medicine, NHO Fukuoka-higashi Medical Center
pp.393-398
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100191
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はじめに
日本における結核の治療は世界的な結核の疫学と治療・管理方法の流れを汲みながら,この数年間でかなりの変容を遂げつつある.結核菌の撲滅と耐性化の防止,治療期間の短期化を目的とした投薬方法の標準化,DOT(直接服薬確認療法)に基づく管理法の変革,患者の人権に配慮しEBMに立脚した入院の取扱いなどがその内容である.具体的には結核予防法施行規則第22条の規定による「結核医療の基準」(1996年4月)1)の見直しが行われ,2002年4月に『初回治療患者の標準療法に関する「基準」の見直し』2),2003年4月に『1. 抗結核薬の標準的投与量,2. RFP,INH投与不可の場合の標準的治療法,3. 多剤耐性結核の標準的治療法の見直し』3)が日本結核病学会治療委員会から相次いで発表され,治療内容や治療期間に新たな指針が示された.また,結核予防法の一部改正(2004年6月公布,2005年4月施行)により結核患者の人権保護の観点などが盛り込まれ,結核病学会が日本結核病学会治療委員会・予防委員会の共同声明として新しい入退院基準「結核の入院と退院の基準に関する見解」(2004年12月)を発表したことを踏まえて,2005年4月から国立病院機構における「結核の新しい退院基準」の試行が開始されている.一部行政との対応の齟齬などまだ現場には混乱もあるものの,結核予防法の感染症法への統合も間近に迫り,結核医療は様変わりしてきている.
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