Japanese
English
綜説
エクソソームの呼吸器疾患への応用
Clinical Application of Exosome for Respiratory Disorder
権 寧博
1
,
丸岡 秀一郎
1
,
橋本 修
1
Yasuhiro Gon
1
,
Shuichiro Maruoka
1
,
Shu Hashimoto
1
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
1Division of Respiratory Medicine, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.149-153
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205638
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
exosome(エクソソーム)の歴史は約30年前に始まる.Johnstoneらは,ヒツジの網状赤血球が細胞外に〜50nmの粒子を放出することを報告し,これを後に“exosome”と命名した1).その後しばらくの間,exosomeの研究が医学研究で注目されることはなかったが,一躍スポットライトが当たったのは,2007年にLötvallらがexosome内にmicroRNA(miRNA)やmRNAが存在し,miRNAの細胞間輸送に利用されている可能性があることを報告したことによる2).ヒトmiRNAは約1,800種の前駆体と2,500種類の20mer長の成熟miRNAが存在しており,miRNAは塩基配列特異的にmRNAの3'非翻訳領域に相補的に結合し,蛋白翻訳をpost transcriptionのレベルで阻害し,遺伝子発現を制御している.このようなmiRNAがexosomeを介して細胞間を移動し,細胞間のコミュニケーションに利用されているということは,すなわち,exosomeは生体情報を含む魅力的なバイオマーカーとして利用可能であることを意味し,また,治療への応用が期待できることを意味していたからである.本稿では,近年注目されている細胞外顆粒(extracellular vesicles;EVs),特に小顆粒のEVsであるexosomeとmicrovesicleに焦点を当て,その臨床応用,特に,呼吸器疾患における応用の可能性について概説する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.