Japanese
English
Bedside Teaching
喘息マネジメントにおける心身医学的アプローチ
The Psychosomatic Approach to Management of Asthma
丸岡 秀一郎
1
,
江花 昭一
2
,
釋 文雄
1
,
村上 正人
3
,
橋本 修
1
Shuichiro Maruoka
1
,
Shoichi Ebana
2
,
Fumio Shaku
1
,
Masato Murakami
3
,
Shu Hashimoto
1
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
2神奈川大学保健管理センター
3国際医療福祉大学山王病院心療内科
1Division of Respiratory Medicine, Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
2Health Service Center, Kanagawa University
3Department of Psychosomatic Medicine, Sanno Hospital/International University of Health and Welfare
pp.922-929
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206034
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概要
気管支喘息(以下,喘息)は,アレルギー性気道炎症,気道過敏性亢進,気道粘液産生亢進などを伴う可逆性の慢性気道炎症性疾患である.吸入ステロイド薬,気管支拡張薬,抗アレルギー薬の進歩により,気道炎症をコントロールすることが可能となったが,依然,年間約1,700人の喘息死亡患者が存在し,根治には至っていない疾患である.その要因としては,発症機序についていまだに不明な点が多く,単一のフェノタイプでは説明のつかない病態であることが挙げられる.現在は様々な側面から分子メカニズムの解明が行われており,新たなフェノタイプ分類(エンドタイプ)が注目されている.また,喘息の発症機序には,遺伝因子だけではなく,環境因子が深く関与している.環境因子の一つに心理社会的ストレス(以降,ストレス)がある.ストレスがどのように呼吸器疾患の発症機序に影響を及ぼしているのか依然不明な点が多いが,ヒポクラテスの時代から情動の変化が増悪につながりやすい疾患として認識され,臨床的にも,心身医学的発症増悪メカニズムの解明がなされている.「喘息予防・管理ガイドライン2015」において,ストレスは,増悪因子の一つであり,さらに重症化の要因としても考えられている.ストレスに対するマネジメントは,良好な病態コントロールのためには,非常に重要である.本稿では,喘息病態を安定的にコントロールするために,患者の背景にストレスの存在があるのかどうかを見極め,より良い喘息コントロールを実現するためにどのような心身医学的アプローチが必要なのかを概説する.
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