Japanese
English
綜説
サイトカインの気道における役割
Role of Cytokines on Airway
陳 沆
1
,
棟方 充
1
,
川上 義和
1
Hang Chen
1
,
Mitsuru Munakata
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1Department of Internal Medicine Ⅰ, Hokkaido University School of Medicine
pp.104-113
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900611
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はじめに
サイトカインは刺激を受けたリンパ球やマクロファージを始め種々の細胞から産生され,免疫応答や炎症の発生に関与する蛋白であり,表1に示すような性質を持っている1).各種サイトカインはそれぞれ独自のアミノ酸配列と細胞表面受容体を持つ.図1に示すように,サイトカインを介する細胞間伝達様式には以下の経路が知られている2).①近隣の細胞ヘレセプターを介して作用(paracrine pathway),②産生細胞自体へ細胞表面レセプターを介して作用(autocrine path-way),③近隣の細胞ヘレセプターを介し産生細胞膜上のサイトカインが作用(direct cell-cell communication),④産生細胞自体へ細胞内レセプターを介し細胞内サイトカインが作用(modified autocrine pathway).またサイトカインの標的細胞への作用は,①サイトカイン産生量,②サイトカイン産生細胞と標的細胞との距離,③標的細胞上のサイトカイン受容体発現量の三つの因子に規定される.
個々のサイトカインは生体内で実に多彩な作用を有し,複雑なネットワークを形成している.このサイトカインと細胞とのネットワークは,第一のサイトカインが第二,第三のサイトカインの産生を制御するようなカスケードを形成することや,いくつかのサイトカインが互いの作用を増強,あるいは抑制することなどから,非常に複雑なものとなっている.
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