Japanese
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特集 気道におけるニューロペプタイドの役割
気道分泌とニューロペプタイド
Airway mucus secretion and neuropeptides
志村 早苗
1
Sanae Shimura
1
1東北大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.505-510
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205472
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はじめに
気道分泌には粘膜下腺(気管支腺)と気道上皮の杯細胞が関与しているが,粘膜下腺の方が杯細胞に比べてその分泌量が20倍ないし40倍多いと考えられてきている1)。気道分泌を研究する上ではこの粘膜下腺に注目されてきており,その分泌反応をいかに他の要因を除外して特異的に検出するかが課題であった。著者らはこの気道粘膜下腺を単離して気道分泌のモデルとして用いてきている(図1)2)。
一方,いわゆる喀痰や気道液の形成にはこの気道分泌以外にも浸出液や濾出液,さらに上皮に伴うイオントランスポートによる水分の移動が関与している。例えば,慢性気管支炎ではアルブミンなどの高分子ものが喀痰中に出てくる浸出液・濾出液が3),気管支喘息でみられる水のような多量の痰にはイオントランスポートによる水分の移動4,5)が,その形成に関与していると推定されている。ここでは気道分泌を狭義にとり,さらにニューロペプタイドの気道上皮のイオントランスポートに対する影響は別の項で論じているので,ここでは割愛させていただく。
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