Japanese
English
特集 気道におけるニューロペプタイドの役割
気道上皮機能に対するタキカイニンの影響
Effects of tachykinins on respiratory epithelial functions
玉置 淳
1
Jun Tamaoki
1
1東京女子医科大学第1内科
1The First Department of Medicine, Tokyo Women's Medical College
pp.487-492
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205469
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はじめに
哺乳類の気道上皮細胞付近には無髄性の知覚神経であるpulmonary C-fiberが存在し(図1),種々の物理化学的刺激により直接あるいは軸索反射(axon reflex)を介してその神経末端よりsubstance P (SP),neurokininA (NKA),calcitonin gene-related peptideが局所に遊離され,さまざまな気道反応が惹起されることが知られている1,2)。これらのうち前2者は,そのC末端に-Phe-X-Gly-Leu-Met-NH2という共通のアミノ酸配列を有するニューロペプタイドであり,タキカイニン(tachykinin)として包括されている(表1)。近年,気管支喘息をはじめ種々の気道疾患において,炎症性メディエーターとしてのタキカイニンの病態生理学的役割が注目されている3)。
気道における粘液線毛輸送系は肺の生体防御機構の主体をなすものであり,気道粘膜上皮細胞はその重要な構成要素の1つである。すなわち,粘液線毛輸送系は,気道表面に密在する線毛の運動(ciliary beating)と,気道粘膜表層を被覆する液相(airway surface fluid)との協調作用によって営まれており,後者は,粘膜下腺からの粘液分泌および気道上皮縞胞によるイオントランスポートに起因する水分移動によって影響を受けている4)。今回,これら気道上皮細胞の有する線毛運動とイオントランスポートの機能に対するタキカイニンの影響について検討した。
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