Japanese
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綜説
気道分泌―最新の情報
Airway Secretion:Recent development
玉置 淳
1
Jun Tamaoki
1
1東京女子医科大学第一内科
1First Department of Medicine, Tokyo Women's Medicine University
pp.945-951
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100098
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はじめに
ヒトの気道粘液は,気道内腔におけるホメオスターシスの維持に不可欠の要素であり,粘液線毛輸送や局所免疫の構成要素として生体防御的な役割を果たしている.しかし,閉塞性換気障害を有する患者で粘液量が持続的に増加すると,気道狭窄が助長され気道過敏性の亢進が招来され,致死的病態の原因となることがある.実際,気道抵抗は気道腔半径の4乗に反比例するため(R∝1/r4),例えば粘液分泌が増えて気道径が半分に減少すると,気道抵抗は16倍にも増加する.しかも,粘液自体は非常に粘稠度が高いため,粘液線毛輸送が障害され局所に粘液が滞留すると,それが細菌感染の温床となり気道感染が反復するようにもなる1).したがって,日常診療において慢性気道疾患患者を管理していくうえで,気道粘液分泌亢進の病態を理解しこれを制御することが大切である.
気道分泌の異常を来す代表的な呼吸器疾患として,喘息,COPD(特に慢性気管支炎),気管支拡張症,びまん性汎細気管支炎,嚢胞線維症などが挙げられるが,これらの粘液分泌亢進のメカニズムは疾患により異なり多様である.そこで本稿では,まず粘液分泌に関する基礎的な知見を述べ,次いで喘息とCOPDに焦点を絞り,粘液分泌の病態と治療について最新の情報を解説する.
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