呼と循ゼミナール
末梢気道病変の検出(8)—Dysanapsis(allometry)
川上 義和
1
1北海道大学医学部第一内科
pp.216
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204399
- 有料閲覧
- 文献概要
dysanapsisとは,ギリシャ語のdys=unequalとanap—tixy=growthをつないだ言葉で,別名allometryとも呼ばれる。肺のdysanapsisは,肺の成長過程で気道と肺胞が不つり合いとなることをさしている。肺胞の大きさ(肺気量)が大きい個体で必ずしも気道サイズ(気道体積)が大きい訳ではなく,同一個体の成長過程でこの割合が変わり,また個体間でも大きなバラツキがある。このゼミナールでdysanapsisをとり上げた理由は,正常人において気道と肺胞のつり合いについていくつかの興味ある研究が成され,肺疾患における意義も今後明らかにされようとしているからである。
まずdysanapsisの表現法について。最も実際的で生体で用いうる方法は,胸部レ線写真(正,側)で気管のサイズおよび断面積を実測し,これと肺気量との比を求めるものである。胸郭内気管の正面および側面からみた直径を0.5cm間隔で測り,平均値を求める。測定の下限は分岐部から2〜3cm口側である。気管の断面積は,半月形とみなして計算出来る(Osmanliev D,et al.Am.Rev.Resp.Dis.126:179,1982)。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.