呼と循ゼミナール
末梢気道病変の検出—(5)クロージング・ボリューム
川上 義和
1
1北海道大学第1内科
pp.1306
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204356
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クロージングボリュームは,N2洗い出しで行う場合は single breath N2 washout, resident gas methodとも呼ばれ,末梢気道病変の早期検出に使われうる検査法である。「単なるノイズに過ぎない」と言い切る研究者が現在もいるが,喫煙者と非喫煙者の鑑別には血中COHbレベルDLCO/VA,Heフローボリュームに次ぐ有用性があり(The lung in the transition betweenhealth and disease, P.T.Macklem & S.Permutt, eds.Dekker, p.377,1979)捨て難い味がある。著者らの一卵性双生児による研究でも,双生児の一方が喫煙者で他方が非喫煙者の場合(背景因子が組内で統一されている),フローボリューム曲線,スパイロ,気道抵抗,動脈血ガスなどに比べて,CV/VCが最も弁別性が高かった(Am.Rev.Respir.Dis.126:986,1982)。
肺気腫など不均等換気が高度となると,第III相から第IV相にかけての折れ曲り点が不明になることからみると,まさしく「早期検出」に向いている方法といえる。
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