呼と循ゼミナール
末梢気道病変の検出—(3)動肺コンプライアンスの呼吸数依存性
川上 義和
1
1北海道大学医学部第1内科
pp.1110
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204317
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動肺コンプライアンスを呼吸数を換えて測定すると,肺疾患はもちろん健康人のある者でも呼吸依存性を示す。この機序は,Otisらによると肺内時定数の不均等分布によるとされ,明快な理論が展開されている(J.Appl.Physiol.8:427,1956)。この現象を末梢気道病変の早期検出に使う場合,注意すべき点が二つほどある,一つは前にも述べたように,肺粘性抵抗が正常,肺弾性収縮力も正常という前提条件をふまえることで,いま一つはコンプライアンス(C)あるいは抵抗(R)の絶対値の大小が呼吸数依存性に関与するという事実である。後者はあまり良く知られていないが,疾患肺における呼吸数依存性の解釈にも関係してくるので詳しく述べてみよう。
Otisらの理論により肺を2コの異なる時定数(T1,T2)を持つモデルで考えると,ある呼吸数(f)における肺コンプライアンス(C)は下記の式で表わされる。
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