Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
CTによる気道病変の評価:中枢気道と末梢気道
CTを用いた気道病変(中枢および末梢気道病変)の評価が種々の疾患でなされている.中枢気道病変については,以前より気管支拡張症,嚢胞性線維症といった気道内腔の拡張を特徴とする疾患において定性的な拡張の有無が評価されてきた.さらに近年では気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)においても,CTを用いた中枢気道病変の評価が行われはじめている.当初は喘息における気道壁肥厚や内腔狭窄・拡張の有無などの定性的検討が中心であったが,最近では区域~亜区域気管支レベルの中枢気道において,その横断面での壁面積や壁の厚さ,内腔面積などを拡大画像での計測1~4)やコンピュータによる自動解析5)によって算定した報告がなされている.これまでに,喘息患者1~4)やCOPD患者5)において健常者に比較して気道壁が有意に厚く,肥厚の程度が重症度や気流閉塞の程度と相関することなどが報告されている6).
一方,末梢気道については,CTによって末梢気道の壁肥厚や内腔狭窄・拡張などを直接的に評価することはその空間解像度の限界から困難である.すなわち,中枢気道の評価に用いられるのと同様の方法による気道壁厚などの定量的測定は,内径1~2mm以下の末梢気道では測定誤差が大きなため用いられない5,7).また,特に健常例では気道として描出すること自体が困難である8).疾患肺においては,末梢気道病変を直接反映するCT所見として,びまん性汎細気管支炎(DPB)9)やM. avium complex症10,11)などでみられる小葉中心性小結節~粒状病変や樹枝状病変などの所見が知られている8).これらは末梢気道の顕著な壁肥厚,炎症細胞浸潤,気道内腔や気道周囲への滲出性変化などによってCT上末梢気道が顕在化したものと考えられている8).また,間接的に末梢気道病変を反映するCT所見としては,air trapping,換気の低下に伴う二次的な血流減少や低酸素性血管攣縮(hypoxic vasoconstriction)を示唆する肺野の低吸収域やモザイクパターン(高吸収域と低吸収域がモザイク状に混在する所見)が知られている8,12).これらは呼気位のCTで顕著となる.M. avium complex症,気管支拡張症など種々の呼吸器疾患においてこれらの間接的所見と呼吸機能や病勢などとの関連が報告されている8,11,13~15).末梢気道病変がCT上直接的所見として顕在化するか否かは,器質的変化の有無をはじめとする病変の質的な差に加えて,病変の程度にも影響されると考えられる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.