特集 カテコールアミン
肥大型心筋症におけるエピネフリン反応性の検討
板家 守夫
1
,
井福 正保
1
,
豊増 功次
1
,
長田 浩司
1
,
板家 研一
1
,
野村 岳而
1
,
戸嶋 裕徳
1
,
高橋 啓美
2
,
古賀 義則
2
1久留米大学医学部第3内科
2久留米大学循環器病研究所
pp.1181-1185
発行日 1983年11月15日
Published Date 1983/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204332
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
肥大型心筋症(HCM)の発症にカテコールアミン,交感神経系が重要な役割を果している可能性は以前よりGoodwinにより指摘されている1)。実験的にもノルアドレナリンの注入でH(O)CMに似た病態を作製しえたとの報告もあり2,3),また甲状腺剤のTRIAC4)や,nerve growth factor5)により生じる心筋細胞のdisarrayも,カテコールアミンを介した作用と考えられている。しかしHCMの血中や心筋内のカテコールアミン含量については,一定の見解は得られていない6〜11)。教室の野村らは,高血圧心で非対称性肥大群と対称性肥大群を比較し,前者では尿中カテコールアミン含量が有意に低値であることを報告し12),非対称性肥大群のhyperkineticな心動態は,カテコールアミンに対する反応性が亢進している結果であることを示唆している。そして,HCMの異常な心筋肥大にもこの反応性の異常が関与しているものと推測した。
そこで本検討では,生体本来のカテコールアミンの一つであるエピネフリンに対するHCMの心血管系の反応性を観察し,本症の病因につき考察した。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.