Japanese
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特集 心筋Viabilityの評価
細胞レベルからみた心筋Viability
Myocardial viability estimated on the basis of cellular metabolism
矢崎 義雄
1
Yoshio Yazaki
1
1東京大学医学部第三内科
1The Third Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, The University of Tokyo
pp.195-200
発行日 1990年3月15日
Published Date 1990/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900104
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はじめに
絶えず収縮をくり返して血液を駆出している心筋は,その機能と形態を正常に保持するために莫大なエネルギーを消費している。したがって酸素とエネルギー源となる基質の供給が不足する虚血下においては,心筋の機能や形態はもはや正常に保ち得ず,収縮不全をきたし,ついには細胞構造の崩壊をきたして壊死へと障害は進展する。それではどのような生化学的な機序により収縮障害をきたし,そして細胞は壊死に陥るのであろうか。虚血によるこのような細胞障害を代謝面から理解をすすめることは,種々の病態において心筋のviabilityを評価し,さらにこのような心筋を保護することにより,心機能を可及的に維持しようとする治療法の確立に有用な,きわめて重要な課題である。そこで本稿では,まず収縮機序が中心となる心筋代謝の特徴を述べ,そして虚血時の代謝障害による収縮機能異常,特に最近注目されているstunned myocardiumの生化学的な機序に関する知見を解説して,心筋のviabilityについて細胞レベルから論じたいと思う。
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