巻頭言
サイアザイド
八木 繁
1
1獨協医科大学循環器内科
pp.1347
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203677
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1957年に,chlorothiazideが利尿剤として登場してから,サイアザイド剤(以下サ剤と略す)の降圧剤としての役割は大きく,β遮断剤が降圧剤として脚光を浴びてきた現在でも,サ剤は降圧治療の基本薬剤として広く使用されている。サ剤を他の利尿剤と比較してみると,経口投与で降圧効果が大きく,しかも緩徐に効果が現れ,耐性を生じにくく,副作用が少なく,またその効果が血中の酸・塩基平衡によって影響されない利点があり,軽症高血圧患者の多数において,サ剤単独投与で十分な降圧効果が得られる。また,サ剤は血管拡張剤や交感神経系抑制剤の耐性を防ぎ,それらの降圧作用を増強し,副作用を軽減するため,高血圧患者の治療がいっそう容易になった。糖尿病や痛風を合併したり,副作用のためにサ剤が使用できない患者では,降圧治療がむずかしくなることは日常よく経験する所である。
サ剤の降圧機序として,投与開始初期には主として細胞外液量の減少により,その後慢性期には全末梢抵抗の減少によると説明されてきた。
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