呼と循ゼミナール
呼吸の中枢生理における諸問題をめぐる最近の研究動向(4)
福原 武彦
1
1東京慈恵会医科大学薬理学
pp.1188
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203461
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先に述べたA,B,C,Dの4種の見解の相異は動物の種差あるいは単に,実験結果の解釈の違いによるものではない。これらの見解の実験的根拠とされている脳幹横切断,局所破壊による呼吸運動型変化,特有な呼吸反応を起こす電気刺激部位の分布,脳幹部において呼吸性ニューロンが導出される領域とニューロンの型別分布状況などの動物実験成績自体に著しいくい違いがある(本シリーズ(3)の文献3)。実験条件,実験方法の違い等,種々の原因が考えられるが,脳幹切断実験の成績に見られるように全く相反する実験結果が得られていることの最も重要な原因は各研究者の用いた実験条件のもとで呼吸中枢を構成する呼吸性ニューロン群の活動状態に著しい差のあることであると考えられる。脳幹部の呼吸ニューロン(後述)の自発性ならびに反射性活動は実験動物の麻酔条件,換気条件,循環状態によって著しく変化することがすでに明らかにされている4)。
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