講座
新しい吸入麻醉
上中 省三
1
1聖路加國際病院外科
pp.65-90
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909395
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1846年に米國のボストンで歯科醫モルトンが頸部に腫瘍のある患者にエーテル吸入麻酔を行い,執刀者ウオレンがこの患者にまつたく苦痛をあたえずに手術を行つた。これが外科手術に吸入麻酔を行つて成功した最初の例で外科手術を行う外科醫及びその患者に大きな福音をもたらした。
その後の百年間に醫學全般の進歩發達にともなつて各種の麻酔法が工夫されてきたが,これと共に近年化學療法,抗生物質療法が急速に進歩發達した結果,從來困難とされていた肺,心臓,食道等の手術が容易に行われるようになつた。このうえに大量の輸血も血液銀行の設置によつて手術の前後に容易に行われることも,手術による死亡率を減少させるのに役立ち手術の安全性が更に増大している。
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