呼と循ゼミナール
色々な模索(その5)—システムの中の心臓
沖野 遙
1
1東海大学医学部生理学教室
pp.498-499
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203364
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4回にわたって随想的に述べてきたが,まとめてシステムをみると,前と後および内部に負荷を持った心臓の挙動を考える時に,心筋の元気さを知ることは当然不可欠である。しかし数多くの乳頭筋での知見が筋塊となり袋となった時に全て役立ったともいいきれなかった。やはり心臓機能は筋特性に裏付けられたポンプ機能として評価すべきと思う。化学〜機械エネルギー変換器としての心臓は外的条件によってその回転数と容積は限度はあるが可変な所に特長がある。病的心はともかく,サルコメーアの初期長,発生張力,短縮速度の3因子関係は認めるとしても,短縮と弛緩の滑走機構と変力状態の関係で最近心筋のCa2+感受性という表現があるが,感受性と聞くとCa2+が十分あっても筋側に不感状態があるのかと疑いたくなる。これに加えてAとMの重なり程度に短縮前に部位差があったとすると結果的に発生張力と滑走速度の関係はどうなるのだろう。レーザー光回析結果では短縮は部位的に階段状に拡がり,極端な表現をすると打上げ花火的とすら見える。
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