呼と循ゼミナール
色々な模索(その1)—内的損失
沖野 遙
1
1東海大学医学部生理学教室
pp.12
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203297
- 有料閲覧
- 文献概要
心臓がポンプ運動をする時に心筋の短縮開始と終了は同期はしているが全て同時ではないことは可視できる。そして心室では房室結節を出たインパルスは中隔から心尖経由で自由壁を流出口に回って伝わるので自由壁が波打って収縮することになる。この刺激伝導系内を3m/secの速度で伝播したトリガーパルスはまず心室内膜面に達して,そこから筋短縮が始って筋線維束にそって約1/10の速度で外膜へ向って伝播し筋が順次短縮して行くと考える。そして心筋の層状構造も考慮すると波打ちやねじれという類の運動は当然の結果であろう。先天的な構造上から中隔がまず収縮しはじめることになるが,これが総合されたポンプ作用としてどんな役割りをするのかもまだよく判らない。しかし自由壁が心尖から流出口方向に収縮して行くのはしぼり出し方式の収縮ともいえようし,誠に理に合っているように見える。しかし房室弁の開閉と合わせて想像するとよく判らない所が残る。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.