呼と循ゼミナール
色々な模索(その2)—圧と容積
沖野 遥
1
1東海大学医学部生理学教室
pp.142
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203315
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肥大心と拡大心を考えた時に問題となるのはその形態寸法、心筋の伸展と収縮性と圧容積関係であろう。幾何学的にみて正常心と拡大心とが同じ一回拍出量を出すための単位心筋長当りの筋短縮程度は後者が少なくてすむと作図できる。しかし肥大心が同じことをするにはより短縮しさらに壁厚を増さないとできない理屈になる。そして肥大が高々後負荷に打ちかって収縮力を強くする目的の場合はEFは容易に十分とれなければならないが,病的肥大で心筋の変質があれば内部損失が増すので労多くして実が少ないことになる。
この辺の事情はアンギオ,超音波断層,UCGなどの組合せから情報がえられるはずである。ただこれらの結果を分析する際に収縮と拡張末期の2時点の形態を測るだけでは心筋の本来の特性の一面を見失う。即ちこの特性とは筋の長さと張力に加えて短縮と弛緩の速度も見ることが一つの鍵である。犬の虚血心での部位的心筋変化長と変化速度に関する発表が色々ある。さらに径や面積から内容積を求め内圧を壁張力として圧容積関係を分析するのが時流になりつつあるが,この関係の目指すところは応力と歪み関係から心筋の材質特性を知ろうということと想像する。
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