呼と循ゼミナール
睡眠と心室性早期収縮—(I)器質的心疾患を対象として
田辺 晃久
1
,
兼本 成斌
1
1東海大学内科
pp.522
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203368
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夜間睡眠時の心調律の変動は,自律神経トーヌスを知る指標の一つとして重要視されている。近年Holter心電計の発展に伴い長時間連続心電図記録が可能となり睡眠時の心拍数や不整脈についての検討も容易となった。著者らは,数年来,睡眠時の不整脈を検討しているが,本稿ではいわゆる安定期の器質的心疾患における心室性早期収縮(VPC)発生に自律神経系がどの程度関与しているかについてのべる。
日中覚醒時と夜間睡眠時のVPC変動(A-S変動)では,睡眠後のVPCは減少型,不変型,増加型,不規則型に大別される1)。安定期の心疾患では,減少型が圧倒的多数を占める(冠動脈疾患の93%,その他の心疾患の71%)のに対し,増加型は非常に少ない(冠動脈疾患の7%,その他の心疾患の12%)。また減少型のVPCは日中R-R間隔が短縮すると出現しやすく,逆に増加型のVPCは夜間睡眠時R-Rが延長すると出現しやすい傾向がある。一方不変型ではR-R間隔とは無関係にVPCが出現する。
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