特集 綜合保健活動の推進
主題参加
綜合保健と公衆衛生活動の方向
暗中模索の関係者
北野 博一
1
1新潟県衛生部
pp.19-20
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202967
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岡山県在任中は故三木知事から「君たちはすぐバイキンのことばかり考えて大きなことを忘れている」と注意されたことしばしばであった。列車のふん尿--黄色い霧--作戦で国鉄総裁宛の陳情書の起案の際,折から河口湖畔の英人コレラ患者が中央線の車中でも下痢をしていたとの新聞報道もあったりしたので,さっそく病原菌をバラ撒く危険も大といった文句を入れたところ,バイキンは消毒によって殺菌できる大原則を忘れた大馬鹿起案ときめつけられ,消毒されてあれば大小便の霧が弁当の上や顔にかかっても平気なのか,不潔さということをどうして強調しないかとさとされたことがある。東海道新幹線では黄色い霧解消のための国鉄の努力によってタンク式の新方策が採用された。操車場での終末処理もいろいろ工夫がこらされて将来の国鉄ふん尿処理に明るい見通しができたことを三木知事に報告したのは三木知事急逝のほんのちょっと前のことだった。
われわれ公衆衛生関係者の不勉強,視野の狭さを常に歯痒く思われ,鞭撻された三木知事こそ綜合保健の権化であったのだと今さらながらつくづくと思い出すことだ。
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