呼と循ゼミナール
色々な模索(その4)—交流的後負荷と仕事
沖野 遥
1
1東海大学医学部生理学教室
pp.352
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203343
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循環システムは血行力学的に前負荷と内負荷を含む心臓と後負荷からなるとされる。最近後負荷をTPRでなくインピーダンス(交流抵抗,Z)で示すこともあってなじみにくく思われる筋もあろうと思うので,心臓の対外仕事のパワースペクトラムとあわせて解説する。血圧血流とも経時的に脈動するのでてれらの時間平均値P=1/T∫T0P(t)dtとQ=∫t0Q(t)dt値からTPR=P/Q,平均power=P×Qとしてこれまではみてきた。実際はZ=P(t)/Q(t)で脈動性のPower(P)=P(t)×Q(t)であるが実測値間で乗除算すると大動脈や肺動脈基部では拍出期以外はQ(t)はゼロなので心周期中に無限大やゼロの演算結果になってしまう。しかし拍出期以外の時相でも動脈内血流は末梢方向へ拍出期に貯溜されたエネルギーによって流れる。この種の周期現象の時にその変化が複雑な波形をしていても数学的に脈拍数を基本振動数として,それとその整数倍振動数の多数の正弦波の合成とみなせるというFourier級数変換法を用いて原波形を振幅と位相の異った基本振動数とその整数倍振動数の正弦波群に分けてしまう。
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