呼と循ゼミナール
肥大型心筋症でみられる乳頭筋エコーの収縮期異常前方運動
小川 聰
1
1慶応義塾大学内科
pp.422-423
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203355
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肥大型心筋症における心室内圧較差の発生機序は,多くの研究者達の関心を集めてきた。まず,左室流出路における"muscular contraction ring"の結果として閉塞が生ずるという概念が提唱されたか1〜3),その後,左室造影,血行動態の解析により,僧帽弁前尖の先端部が肥大した心室中隔に接触する結果として流出路に圧差が生ずると信じられてきた4,5)。Mモードエコーが導入されると,閉塞を有する肥大型心筋症の患者では,常に僧帽弁エコーの収縮期前方運動(SAM)が記録され,これがアンジオ上みられる前尖の異常運動を反映するものとされてきた6)。ところが最近,肥大型心筋症の非定型的な形として"midventricular obstruction"を有する症例が報告され7,8),従来の"muscular contraction ring"の概念が再び脚光を浴びてきている。すなわち,これらの症例では心室内圧差はmidventricleの高さで認められて,著しく肥大した乳頭筋と心室中隔によって形成される真の意味での筋性狭窄と考えられている。
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