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増大号 計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン
各論(心エコー類似所見別または病態別)
3章 心筋症/心筋炎
肥大型心筋症
Hypertrophic cardiomyopathy (HCM)
玉井 佑里恵
1
1国立研究開発法人国立循環器病研究センター臨床検査部
pp.422-432
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202973
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基礎知識
肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)は高血圧や弁膜症などの心肥大をきたす原因がなく,左室や右室の心筋に非均等型の肥大を呈する疾患である1).HCMは最大壁厚が30mm以上は突然死のリスクとなる2).HCMの約60%が常染色体優性遺伝による家族性であり,主にサルコメア遺伝子変異によって発症する3).HCMでみられる主な症状としては,労作時息切れや呼吸困難感,胸痛,動悸,立ち眩みや失神などの脳虚血症状などが挙げられる.左室流出路狭窄を有する例では駆出性収縮期雑音,僧帽弁収縮期前方運動(systolic anterior motion:SAM)による僧帽弁逆流(mitral regurgitation:MR)を合併すると逆流性収縮期雑音を聴取する.心電図では,左室胸部誘導の高電位,異常Q波,ST-T変化などがみられ,なかでもV3〜V5を中心とした誘導での高電位を伴う1.0mV以上の対称性巨大陰性T波は心尖部肥大型心筋症(apical hypertrophic cardiomyopathy:APH)の特徴的所見である.
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