呼と循ゼミナール
WPW症候群と心房細動
高木 誠
1
1京都市立病院内科循環器
pp.372
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203347
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近年注目されている疾患の一つにWPW症候群がある。注目を引く理由としてまれであるとはいえ本症候群が突然死と関連をもつこともその一因と思われる。
WPW症候群の何パーセントが突然死するかといった正確な記載はみられないが,若年者の突然死例の中には本症候群が関与するものが存在するのではないかと想像される。本症候群が突然死の原因となる致命的不整脈(心室細動)を生じる機序として,房室間を直接に結ぶ副伝導路が存在し,しかもその不応期が十分に短い場合には,心房細動が発生すると心室レートは著しく早くなり,先行収縮による心室のvulnerable periodにつぎの興奮が到達して心室細動を生じるものと考えられる。同様に単発の心房早期収縮でも,まれには心室のvulne—rable periodをたたく可能性があることも十分に想像される。いずれにせよ,副伝導路は房室結節のような生理的な伝導遅延の機構を欠くために,しかもその不応期が著しく短い場合には致命的になりうることが十分考えられる。
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