名著案内
—Guyton, A. C., Jones, C. E. and Coleman, T. G.—Circulatory physiology;Cardiac output and its regulation (Second Edition) (W. B. Saunders Co. Philadelphia, 1973)
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学医学部呼吸循環内科
pp.382
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203349
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臨床心臓病学の立場で心拍出量を測定している医師の数は非常に多いだろうと想像されるが,その精度を論じられる医師となると,わが国に数えるほどしかいなくなってしまうのではなかろうか。心不全を論ずるにあたっても,New York Heart Associationの診断基準の中に,Cardiac index 2.7l/min/m2という数字が出てくるけれど,わが国でこの数字にこだわれる臨床医が何人いるかさだかでない。しかし,心疾患の重症度を考える時に,誰もが末梢組織の酸素需要を満すに足る心拍出量を保てるか否かを論ずる。急性心筋梗塞症の血行動態が,Swan-Ganzカテーテルを用いて計測されることが多くなり,vasodilator therapyなどが行なわれるようになってきたが,その際頭におくのはventricular functioncurveであることが多い。
わが国に血行動態の考え方が輸入されて以来,心拍出量は常に概念として心臓病医の頭の中にありながら,論じられたデーターは血圧曲線ばかりであったと言ってしまうと過言ではあるが,その傾向は否定できない。
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